観音堂
本尊 十一面観世音菩薩
宗派 高野山真言宗
創設 神亀二年(七二五)
観音堂は、建築年代は18世紀中期と推定されます。昭和37年4月に厚木市有形文化財に指定されました。御本尊は、木造十一面観世音菩薩立像です。御本尊の開扉は、正月三が日、4月8日、11月3日です。 当山は飯山観音の通称で親しまれ、坂東三十三観音霊場第六番の札所です。この観音堂(本堂)は江戸時代に建立されたものと推定されます。正方形平面で、屋根は宝形造(ほうきょうづくり)の銅板葺ですが、当初は茅葺でした。向拝は当初からのものとみられますが、軒唐破風(のきからはふ)はのちに付加されたものと推定されています。四周には木口縁を巡らし、擬宝珠高欄(ぎぼしこうらん)をまわしています。観音堂の正面中央間とその両脇間は両折桟唐戸(もろおれさんからど)、両隅間は連子窓(れんじまど)という古風な構えを見せ、側面も前一間を両折桟唐戸としています。いわゆる「密教本堂形式」と呼ばれる仏堂の形式で、堂内は内陣と外陣が格子戸によって結界されています。内陣は仏様の空間で一般の人は立ち入ることができません。各地の観音霊場寺院などに多く見られる形式です。外陣は、桟唐戸や連子窓を用いて地方仏堂らしい一面も見せています。内陣には寛文十二年(一六七二)に飯山村の大工・西海半右衛門によって建立された一間厨子(いっけんずし)が安置され、その中に本尊の木造十一面観世音菩薩立像が納められています。
鐘楼堂
梵鐘は、県指定重要文化財(平成2年2月13日指定)
総高 141センチ口径 81センチ
当寺の鐘にまつわる伝承があります。坂東札所の三鐘として有名であった鐘が、ある夜雷鳴と共になくなり、それからは峰の松風がその鐘の音に聞こえていた。その後、住職が新たに鐘を鋳て鐘楼にかけようとすると、夢にお告げがあり、その場所を掘ったところ以前の鐘が見つかった。これを飯山の隠鐘といいます。本銅鐘は室町時代の嘉吉2年(1442)の年紀を有し、刻銘には銅鐘製作の経緯が細かく記されています。それによりますと、毛利庄飯山の新長谷寺が嘉吉2年の春、火災により焼失したため、新堂宇の再建に先立ち、人々の銅鐘鋳造への強い願いから、麓の金剛寺住僧であった誾勝が、多くの信者から寄付を募り、同年の4月5日に完成したといいます。焼失から短期間のうちに再建がはかられたことは、観音堂、新長谷寺、金剛寺の力が大きなものであったことを示しています。 鐘を製作したのは、飯山の鋳工大和権守清原國光、銘は建長寺の心林によるものです。『新編相模国風土記稿』の飯山村観音堂の項には、観音堂は長谷の観音といい、飯山寺と号し、別当は長谷寺であると記されています。中世飯山の寺院に係る信仰活動や飯山の鋳物師の様相を知ることができる貴重な銅鐘であるといえます。
イヌマキの木
和名:イヌマキ(マキ科)
樹齢は約400年(伝承)
樹高17メートル 胸高周囲2.8メートル
室町時代末期ごろ、多くの巡礼者の無事や、参拝者の長寿を祈願して植樹されたと伝えられている古木です。鐘楼のそばに「亀甲の松」と言われ、表皮が一面に亀甲の形をした松の木がありました。現在は記念碑と後継の松の木が立ち、かつては毎年4月12日に法会が営まれ、下段の広場では競馬が催され、「飯山のまち」と称し近隣から大勢の観覧者が集まりにぎわいました。イヌマキは、関東南部から沖縄の照葉林帯に分布する常緑高木で、沿岸地域では庭木として植えられることが多いようです。樹高20メートル、胸高周囲7メートル、樹齢約600年に達するものもあると言われています。
【かながわの名木100選】に指定され、厚木市の天然記念物に指定されています。
飯山観音長谷寺の見所
春には長谷寺のある白山は桜の花が芽吹き初め、山全体が淡い色に染まります。「かながわの花の名所」として名が知れる程有名な飯山の桜ですが、当寺院には周囲を囲む約三千本の桜が咲き乱れ、地域の方から観光客の方など沢山の方がお花見に足を運ぶ親しい場所です。長谷寺までの参道に見事な桜並木のトンネルができ、春だけの特別な絶景です。
春の桜が散り季節が梅雨に差し掛かる頃、飯山観音長谷寺の境内にはアジサイがそこら中に咲き誇ります。駐車場から本堂までの坂道、山門を抜けた先の階段脇など境内のあらゆる所に植えられており、憂鬱がちな雨季を淡い彩りで華やかにしてくれます。梅雨の時期だけの見ていて飽きない特別な旬の花です。
飯山観音長谷寺からは相模平野が一望され、東京・横浜方面の眺望に優れています。約284mの白山山頂には展望台があり、好天の日には東京都庁や新宿高層ビル群、東京スカイツリー、横浜ランドマークタワー、三浦半島、江の島、伊豆大島などが大きく見渡せます。自然の澄んだ空気を味わいながら景色を眺望できる絶景スポットです。
参拝
仁王門
山門は悟りの領域である仏殿への入り口です。まず門の前で一礼してからくぐり、進んだ先には仁王像が安置されています。両像の前ではそれぞれに手を合わせましょう。
手水舎
山門を抜け階段を上がると龍の手水舎があります。そこで【左手・右手・口】の順に身を清めてから、本堂へ向かいましょう。基本作法は、右手に柄杓を持ち左手に水をかける、柄杓を左手に持ち替えて今度は右手にかける。最後は手のひらに水を少し溜めて口をすすぎ、もう一度左手を清めてから柄杓を垂直に立てて残りの水を柄杓の柄に流して終わりです。
常香炉
仏様にお香を供え、その煙を浴びることで心身を清めることができる場です。体の悪いところにその煙をかけると悪い部分が治ると言われております。線香の束に火をつけ手で払い、なるべく煙が上がったらそのまま常香炉に刺して身を清めましょう。
本堂
常香炉での清めが終わったらそのまま真っ直ぐに進み、本堂(観音堂)の本尊と相対します。まず賽銭箱にお布施の賽銭を入れ、その場で静かに手を合わせて御祈願しましょう。手を深く合わせたまま深くお辞儀し、最後にもう一度一礼して参拝は終わりです。